第1章 バイオレンス・オア・トリート
「あぁナナシ、すまないが手にチョコが付いてしまった。
綺麗に舐めとってくれないか?」
エルヴィンの指を見ると確かにチョコが付着していて、
勿体無いと思ったナナシは迷うこと無く指をペロペロ舐めると、
エルヴィンが深く息を吐き出した。
「・・・大丈夫か?体調が悪いなら退くぞ?」
「体調は悪くないよ。むしろ私は今とても元気だ」
元気にしては顔が赤過ぎると思ったが、
本人がそう言うならそうなのだろう。
またチョコバーを差し出されたので、
ナナシは大人しくそれを食べ続けた。