第1章 バイオレンス・オア・トリート
――あのお固い団長が胸元を開けて、
髪まで崩しているなんてっ!!
隣にいるミケもいつも前髪で目元を隠しているのに、
珍しくオールバックのように髪を上げていた。
その男らしさにミケのファン倶楽部の人間が、
モブリットにスケッチを頼み込む。
可愛い猫達とは対照的な男臭漂う狼男達に、
食堂にいた兵士の数人が失神して医務室に運ばれる始末だ。
担架で運ぶ兵士にエルヴィンはニッコリと色気たっぷりに
微笑み「彼らを介抱してくれてありがとう」と労っていたが、
それは被害を拡大させているだけで運んでいた兵士達も
数人失神してしまった。
ある意味地獄絵図になってきた食堂からハンジは逃げ出そうとしたが、
エルヴィンに首根っこを掴まれ
「何をしていたのか説明をしてくれないか?魔女よ」と
仄暗い笑みを向けられ、
後日研究費の予算を減らされる羽目になる。