第1章 本編
「いつもジロちゃんと木の上でお昼寝してたの。そうしたら、ジロちゃんが私を狙ってきたの。羊と間違えて捕獲されそうに…」
「んでバランス崩して落下したわけだ」
俺は口を挟んでみた。大体想像はついたし?
「落下したんだけど、助かったの」
「何で?」
「だって私、ちょうど通りかかった岳人の上に落ちたんだもん…」
「・・・・・」
「・・・・・」
「不二子…あれはお前だったのか!」
俺はあの痛いの思い出が不二子との出会いだった、ということを今更だけど知ってしまった。
「・・・・・怒ってる?」
不二子は俺の顔色を窺うようにチラッとこちらを向いた。何とも可愛らしい・・・って俺そんな話じゃねぇだろ!
「ん、あぁ…」
「何、その曖昧な返事は…」
「別に怒ってはねぇけどよ…」
俺は俯いた。不二子が泣きそうな目をしていた、と思う。なるべく見ないようにしたかった。
「怒ってないなら、どうしてこっち見てくれないの?」
「・・・・・」
今、不二子の顔を見てしまったら自分が保てなくなってしまいそうだった。
「・・・・・ちょっと今、はマズイ・・・」
「?」
不二子が首を傾げた。そしてゆっくり顔を近づけてきた。
───不二子、お前天然なのか!?今はマジやばいからこっち寄らないでくれっ!!
「岳人?」
「・・・もう駄目だっ!!」
「え?きゃっ!」
俺は不二子に抱きついた。そしておでこをくっつけて不二子を真っ直ぐ見つめた。
「・・・・・///」
「・・・・・///」
2人とも見つめ合ってじっと目を合わせた。勿論真っ赤っかである。
「が、岳人・・・ち近いよ?!」
不二子は目線を下に落とした。俺は顔を掴んでこっちを向かせた。
「俺を見ろ!!絶対俯くな?」
「/////」
#不二子#は真っ赤になりながら俺を見つめている。時々、目線を仰がしたりしていたが、ちゃんと俺を見つめていた。
「ねぇ・・・岳人?」
「何だ?」
「何がしたいの?///」
不二子は更に赤くなった。そんな不二子がいとおしくて、おでこに軽くキスをした。