第11章 作成中
「いいですね、コタツ」
「冬はコタツがないと、暖房だけじゃ足先が冷えるのよね」
一緒のコタツでみかんを食べる母と功平と私。確かに緊張はしているが、少し慣れてきた様子の功平。
暫く色々話をして、母は洗濯物を畳むと言い、リビングを出ていった。
「あー・・・マジでコタツいいな」
全身の力が抜けたようにテーブルにだらける功平。
「お前寒かったんじゃない?家、コタツないから」
「ううん、そんなことないよ。全然寒いと思ったことないから」
そんな緩い話をしていると、カチャッと小さくリビングのドアが開く音がした。2人して目を向けると、そこにはチラッと顔を覗かせる衣奈。
そのままの状態でぺこっと頭を頭を下げる衣奈。どうやら挨拶をしに来たらしい。
「あ、お邪魔してます。初めまして、笹倉功平です」
「は・・・はじめまして、衣奈です。姉がお世話になってます」
緊張で少し赤面しているが、きちんと笑顔で挨拶出来ている。が、
「衣奈もこっちおいでよ」
私の言葉に小刻みに顔を横に振り、挨拶に来ただけだから、と部屋に戻って行った。
「姉妹揃って人見知り?」
「そうなんだよね・・・。でも、衣奈は私以上だよ」
「挨拶はちゃんとしてくれたけどな。確かに顔赤くなってたし、緊張しながら言いに来てくれたのか」
自分もさっきまで衣奈と同じような立場だったのに、そうと捉えていないのか、衣奈のことをしっかりしてて偉いと褒めている。
「そろそろ帰るかな。・・・でもコタツから出たくねぇ・・・」
「分かるー。出られなくなるよね、この温もりから」
コタツに入って15分程。功平は完全にコタツの虜になっていた。
「遅くにすみませんでした、お邪魔しました」
「いいえ。ごめんなさいね、何のお構いも出来ませんで」
「とんでもないです!お茶もお菓子もありがとうございました」
母はみかん以外にも、お茶の他に家にあるありったけのお菓子をコタツの上に並べていた。
「衣奈ちゃんもありがとう、またね」
「こ、こちらこそです」
「またいつでもいらっしゃいね。今度は夕飯でも」
「はい、是非」
帰る頃には完全に打ち解け、功平もほとんど普段と変わらない表情だった。
まさか次の約束をする程とは思わなかったけど。