第11章 作成中
「陽、良い子にしてたか?ともに迷惑かけてない?」
「良い子にしてたよねー、陽太ー」
「ねー」
そっか、偉かったな!と陽太の頭をヨシヨシする琇には、夕飯が完成するまで寛いで貰うことにした。
「琇くんは?今日どうだった?」
「ともが家のこと預かってくれたお陰で凄い集中して取り組めたよ。予定より早くレポート終わりそう」
「本当?良かったー!少しは役に立てたみたいで」
「少しどころじゃないよ!今日土曜日だし、家で陽太達の面倒みながらするつもりだったから、こんな時間が貰えて本当に感謝してる」
テスト休みが終わり、私立の高校に通う功平は午前授業の後はバイト、悠輔は習い事のサッカーで朝から夕方までいない。
いつも交代でそれぞれ予定を組むらしく、今回は琇が家にいる日だったという。その役割を今日は私に任せて貰い、琇は大学に行ってレポートを進めることになった。
「それに夕飯まで作ってくれて・・・優しいねぇ」
「そ、そんなことないよ」
「照れてる(笑)」
「照れてない!」
そんな話をしてると、ガチャッと玄関の開く音が聞こえた。コンロの火を消して玄関にお迎えに行こうとすると、
「待って」
と、何故か琇に引き止められる。
おかえりー!という陽太の声が玄関から聞こえた直後、
「脱いで」
琇からの衝撃の一言。
「・・・・・・は?」
「脱いで、エプロン」
あぁ、エプロンか、ビックリした・・・。というか突然どうしたのだろうか。
今日は色んな琇の一面を目の当たりにして頭がついていかない。
「な、何で?」
「いいから」
「別にこのままで問題ないと思うんだけど・・・」
「ダメ。ほら、早く!」
「ダメって・・・」
「あーもう!いい。俺が脱がす」
「は!?え、ちょっ・・・」
ガチャッ
「・・・・・・・・・何、やってんの・・・?」
リビングのドアが開き、陽太と共に入ってきたのは・・・功平。
ザ・困惑。そんな顔。
「・・・脱がされた」
「は!?」
「エプロン・・・」
「何だ、エプロンか・・・」
理解不能といった表情で、エプロンを引っ張り合う私達を見つめている。
琇はというと、私からエプロンを取り上げホッとしているよう。夕飯の続きしなきゃなのに、一体何だというのか。