第11章 作成中
「店長もご馳走してくれるって言ってるし、また近い内に行こうか」
「うん!やったー!」
どうやらあのイタリアンのお店は高校時代の琇のバイト先であり、店長は勿論のこと、史哉と薫ともそこで知り合ったのだそう。
「・・・あ、でも琇くん忙しいよね?」
「俺?全然!店に行く日はちゃんと空けるから安心して」
この言葉、裏を返せば予定がある日のみスケジュールを空ける。要するに、普段それ以外は休みがないってこと。
バイトは掛け持ちしてるし朝帰りの時もある。大学のことはよく分からないけど、今日もレポートに必要な本を買ってたし、課題も色々大変そう。そして更に陽太達の面倒も見たり・・・
「ねぇ、私に何か出来ることない?」
「へ?どうしたの、いきなり」
「んー・・・他人のことに首を突っ込むのはよくないって分かってるんだけど・・・ちょっと琇くん、頑張り過ぎかな、って」
私の言葉にキョトンとする琇。そしてすぐに、ふはっ!と笑って私の頭に手を置いた。
「全然首突っ込んでないじゃん(笑)。心配してくれてありがとう、嬉しいよ。でも他人ってのは何か寂しいな〜」
「だ、だってそうじゃん!」
「俺は妹だと思ってるんだけどなー?」
「っ、・・・な、なら!尚更、頼ってほしい。気遣わないで、功平くん達にするのと同じ様に・・・あ、で、でも迷惑じゃなければね!」
「迷惑な訳ないでしょ」
ぐっ、と私の頭の上に置いてる手に痛くない程度に力が加わる。ちょっと怒ったような顔が、今は何かちょっと嬉しい。
「じゃあ・・・お言葉に甘えようかな?」
「え、本当?うんうん、甘えて!」
「もー・・・そういう可愛いのやめて」
「は!?か、可愛くないよっ!」
「そっかー、無自覚かー」
「本当そんなんじゃ・・・ってか、用件・・・」
「無自覚なら気をつけないと危ないよ?」
「あ、あの・・・」
「いや、でも自覚してたらしてたで・・・」
「・・・・・・」
「うん、ごめんね。ちゃんと話すからそんな目で見ないで」
そしてようやく琇から頼まれごとをしたのが、今日、こうして陽太と竜のお守りをしてほしい、とのことだった。