第6章 縮む距離感
「凄い!衣奈当たってる!」
「こんなんで当たってもねぇ(笑)。というより、姉ちゃんと功平さんが凄いよね」
きっと全く同じ状況なのだろう。そう思うと、やっぱり少しおかしかった。
[私も髪乾かさないで寝ちゃったので風邪ひいちゃいました(笑)。疲れとかじゃないので大丈夫です!功平くんはどうですか?]
[功に聞いたら全く同じ原因でビックリしたよ。功は大丈夫。とももちゃんと安静にしてね]
[ありがとうございます!功平くんにお大事にってお伝え下さい]
[了解!とももお大事にね」
秀とのやり取りを終えると、新しい通知が届いた。表示された名前に首を傾げるの衣奈。
「あ、そっか。まだ話してなかったっけ。衣奈と同い年の子だよ」
「へぇ・・・その人とも仲良いの?」
「んー・・・まぁ、そうなのかな」
そんな私の返答に、衣奈は驚いたように目を見開く。
「姉ちゃん、いつの間に人見知り克服したの?」
「克服?してないよ、全然」
功平に慣れるまで少し時間がかかったし、陽太と竜を除いた2人に至っては案外短期間で慣れることは出来たが、でもやっぱりまだ少しぎこちない。
「多分、功平くんが間に立ってくれるから大丈夫なのかも」
「じゃあ、まだ他の人には緊張するの?」
「・・・若干ね」
関わった時間が多いのは必然的に初めに会った陽太と功平なので、仕方ないと言ったら仕方ない。
「でも悠輔くんにも大分慣れてきたよ。衣奈も会ってみない?」
「え!?やだよ!」
こう見えて、妹の衣奈は私以上に人見知り。今日は私が風邪だからあまり話していないように感じるが、普段は私が8割話しており、基本的に妹は聞き役なのだ。
「じゃあ、いつかね」
「やだ」
「姉ちゃんも一緒だから大丈夫だよ」
「やだ!」
誘い続ける私に痺れを切らした衣奈に、しつこい!早く寝ろ!と怒られ、更にお母さんからも寝るように促された私は、結局大人しく部屋で休むことにした。
その後、 部屋で寛いでいる間にいつの間にやら寝てしまっていたらしく、目が覚めた時には外はもう真っ暗になっていた。