第4章 回想
そしてあの日、久しぶりに家族全員がそろった。
虐待を受けながらも両親が嫌いになれなかった私は
少し嬉しくて、急いで高校から家に帰ったっけ。
高校では帰宅部だったし。
家に着いて玄関の扉を開けると、話し声がした。
両親が話すときは喋ってはならないということも知っていたので、”ただいま”は言わない。
会話が聞こえてくる。
母「もう私には無理。あの子を引き取って頂戴。」
父「俺だって無理だ。お前が引き取れ。産んだのはお前だ」
そう言って父は半ば強引に席を立った。
なるほど、両親は離婚後の再婚で邪魔になる私を押し付けあっているらしい。
玄関とリビングを分けていたドアが開く。
私と父が向かい合う形になった。
私の目と、父の見開かれた目が、合った。
父はばつが悪そうに私から目を背けて出て行った。
その後のことはよく覚えていない。
いつにも増して酷く痛めつけられたように思う。
ただこれだけは、はっきりと覚えている。
涙を流しながら私に暴力を振るう母から最後に聞いた言葉。
母「あんたなんか、産まれてこなければよかったのに!!」
その日は、私の17回目の誕生日でした。