第3章 ここは・・・!!
おいおい。
忘れるはずのないもの、忘れちゃってる人がいるね。
だってこの公園、ほかに人いないし。
拾い上げてみると、そのボールは空気は入っていても
使われすぎてツルツルしていた。
(おっかしいなぁ、
だったらなおさら忘れるはずがないのに。)
ここまで使い込んで、置いていくのはありえない。
そこまで考えてから前を見ると、そこはゴールの前だった。
ちょっとした欲求が芽生える。
(1回くらいなら、使ってもいいかな・・・?)
まあいいや。置き忘れた持ち主にも非はある。
そう思った私は思考を停止して、シュートの態勢に入った。
ㇷッ
ボールを投げると、吸い込まれるようにネットの中へ入っていく。
パサッ・・・
ボールがネットをくぐる音。久しぶりに聞いたその音は、
とても心地よかった。
(体は覚えてるもんなのかねぇ・・いや、傷以外は全く別の体だし・・・)
そんなことを悶々と考えていると、ふいに後ろから声をかけられた。
?「お前、すげーな!!」
「ん?」
?「そこ、3Pラインの外だろ?一発で入るなんて、すげーよ!」
後ろに立っていたのは今の私と同い年くらいの少年だった。
あれ?どっかでみたような顔立ちしてる・・・?
「あ、勝手にボール使ってごめんなさい。これ、あなたの
ボールですよね?」
・・・・この人のだって断定するのは早かったなぁ
まあ、いまさらだけど。
?「そーだけどさ。トイレ行ってただけだし。
それよりも、お前、何歳?名前は?」
「絢雲月乃、8歳です」
歳はさっきお母さんに聞いた。戸籍上はここにいたらしい。
ここで私を虐待していた母親の顔は知らんけど。
?「なんだ、同い年じゃん。ですます調やめよーぜ。
あ、俺、虹村修造!よろしくな!
えーと・・月乃!」
はっ?今、この人、「虹村修造」って言った?
そんな同姓同名、あんの?
顔立ちが似てると思ったのは、本人だから?
だとしたら私は、
黒子のバスケの世界に、転生したの?