第13章 はい、じゃんけんです。
『んー
単純なルールで覚えやすいね』
空「まぁな
でも、【九つ】で以上をもって
って締めくくってるわりに、【十】でみんなで
仲良くか…」
『べつにそこ強制じゃないんだね』
それか
【仲良くするなんてどうせ
無理でしょおまえら】ってことか
皮肉ってる
空「あれが神様ならいい性格してんな」
と、空はあの少年を思い出していた
白「………ん」
白は長旅に疲れ
花の膝で寝ていた
それに微笑みながら
花は頭を撫でていた
それを見て
空も優しい顔をしていた
そして
窓から見える異世界的な景色を見ながら
思った
空「(こういう異世界漂流ものの作品だと
まず帰る方法を気にするもところだが…)」
社会に受け入れられない妹
社会を受け入れられない兄
画面の中にしか居場所のない世界
空「なぁ、異世界に投げ出された主人公達は
なんであんな世界に戻ろうとしたんだ?」
その横顔が寂しそうで
花は眉を下げた
それに気がついた空は
同じ顔をした
空「いや、お前はちがう…か?」
そんなん思うのは俺達だけか…と
白の頭を撫でる
『んん…
わたしは、空と白がいる世界が好きだよ。
…じゃなかったら
わたし死んじゃう………』
花は空より切ない顔で
微笑み、白の頭を撫でる空の手に
自分の手を重ねた
寝ていた白も二人の話を
聞いていたのか頭を置いている
花のスカートの裾をギュッと握り
自分の意思を示した
白もそう思う
と…