第10章 イカサマはお兄様には通用しません。
――――――
女「フルハウス、ごめんねぼうや」
しかし
空は始めから興味がなかった
ゲームしていたことを今思い出した
と言うかのように
空「あ、あー、そうだな。
うん、フルハウスね」
そう言って
パラッと自分の持ち手をテーブルに
無造作に置いた
女は
ほら、わたしの勝ちよ
と、言わんばかりにそのトランプを
見てやる
―――
…。
女は「ロ、ロイヤルストレートフラッシュだあーぁあああ!?」
『う、うるさい…』
花は眠気がまだ残っているのか
少し嫌な顔をした
女「あんた!イカサマしたね!?」
空「おいおい、失敬な。
何を根拠に?」
そう言って、
空は花を抱き直しながら
立ち上がり、白はスマホでパシャッと
もう一度ステファニーを撮っていた
女「ロイヤルストレートフラッシュなんて
65万分の1の確率、そんなすぐに出るかい!?」
空「今日がたまたまその当たり目だったんだろ
運が悪かったね、お姉さん
じゃ、
賭けたもの頂こうか」
女「くそっ」
舌打ちしながら女は空に
お金の入った巾着を差し出す
空「『十の盟約』その六、
盟約に誓った賭けは、絶対尊守される
はい、ごっそさん」
空はそれを花に持たせ
歩き出す
白「………ありがとう、おばさん…」
それについていく白。
女「なんなのよ……」