第5章 にょいっと手が出るのはいかがのものか
それにしても………
白「………すごい、こんな
……苦戦、ひさしぶり」
空「俺はおまえが苦戦するのを
見るのすら、初めてだぞ?」
『なんか…すごかったんだね』
見たかったと残念そうに笑う花
『白ちゃんと互角にって
相手は本当に人間なの?』
空「ああ、誘いにのらなかったときの長考、
仕掛けた罠の不発の時に僅かに動揺が見えた。
間違いなく人間――
そうじゃなきゃ
白以上の天才=バケモノってことだ」
白「どんな………人、だろ」
珍しく白が対戦相手に興味をもつ
空「案外、グランドマスターかもよ?
プログラムは正確だが、人間は複雑だ」
テロン
メールだ。
勝負後のエンドルフィンがもたらす
幸福感ににやにやしている2人を他所に
花がメールを開く
ボソッ『おみごと。それほどまでの腕前、
さぞ世界が生きにくくないかい?』
と、小さく読んだ。
空白「え?」
大好きな花の声で
読み上げられた内容に驚き花を見る。
自分の本心ではないが
なんとなくお互い思っていただろう内容を
読んでしまった花は
2人に困ったように笑って見せた。