第19章 異議を唱えましょう、サン、はい。
夕刻
エルキア王城、大広間
国王選定は終わり
玉座の前には
小さなテーブルと対になった椅子
そこに1人腰掛け
それを多くの観衆が囲む
無表情で腕を組み
葬式のような黒いベールに服
死人のような無気力の表情の
長い黒髪の少女
酒場でステフをイカサマで負かした
あの少女だった
高官らしい服装の老人が言う
「――さて
この者、クラミー・ツェルが選定の闘いを
最後まで勝ち抜いたわけであるが…
彼女に挑む者は、もうおらぬか?」
広場はざわつく
全戦全勝のクラミーに
今更勝てると思えない
「―――では
前国王の遺言に従い
クラミー様をエルキア新国王とする
意義のあるものは申し立てろ
さもなくば沈黙をもってここに――――」
「あ、はいはーい!
異議あり!ありありで〜~す!」
割ってはいってきた声は
なんとも馬鹿にしている……