第13章 記憶の扉(後編)
部屋の外は少し薄暗くなってきた。
透明な冬の夕空がひろがっている。
「冬のこの時間の空、好きだって言ってたよね」
僕はマリィに言った。
「え? わたし? そんなこと言ったっけ?」
「言ったんだよ」
僕は笑って言った。マリィも笑った。
暗くなるにつれ、僕は眠くなってきた。
「なんだか眠くなってきたな……」
「寝てもいいよ」
「離れたくないんだ……」
僕はマリィを抱きしめた。
「ずっといっしょでしょ?」
マリィは僕の左手の指輪にふれた。
「うん……」
僕はうなずいた。
「いっしょに眠ろう」
そう言ってマリィは僕の手をひいてベッドに連れて行った。
ベッドの中で僕たちはキスをした。
「僕のこと好き?」
「知っているくせに」
「聞きたい」
僕がそう言うと、マリィは僕の目をみつめて微笑んだ。そして言った。
「好き。すごく好き」
「ありがとう」
僕はマリィをそっと抱きしめた。
彼女の身体はとてもあたたかかった。
「地球を守ってね」
そう言ってマリィは少し笑った。
「うん」
僕はうなずいた。そしてゆっくりと目を閉じた……。