第8章 だいすき
月曜日、お店はやっぱり暇だった。
時間があると、あの週末のことを思い出して一人で赤くなってしまったりする。
午後、レオンがやって来た。
「こんちは!」
いつもどおり明るくて、愛想がよくて、感じがいい。この人が……、人じゃないとは……思えないなぁ。
思わずじっと顔を見ると、レオンはにやっと笑う。
「なに? 惚れた?」
「え? いえいえいえっ! ごめんなさい」
「そんな全力で否定しなくてもぉ」
「あはは……」
「マリィちゃん」
「はい?」
「これでもう吸血鬼に狙われなくて……ぶっ、あはははは」
レオンは私の顔が赤くなるのを見て、我慢できないというふうに笑い、そして言った。
「あいつ本当に言ったのか。さすがだ」
忘れてた……。そういえばレオンに……いろいろ聞いたって言ってたなぁ……。あれはそうだったんだ……。ていうか意味わかんないんだけど……。
そしてレオンはいつものように「また来るね!」と笑顔で帰っていった。