第6章 たましいあげる
教会のイスに座り、私は考えていた。
明日も仕事だけど家に帰りたくなかった。
給料が一日遅れた。たった一日だけど、今まではこんなことなかった。やっぱり……、前にミシェルが言っていたように、あの店もう危ないのかな。だとしたら他に働くところを探さなければ。
でも……、ここを離れたくない。
ここにはミシェルがいるから。
彼らもずっとここにいるわけじゃなさそうだけど……。少しでも、一日でも長くいっしょにいたい。
どうしたらいいのかなぁ……、神様……。
「こんなところで寝てたら風邪ひくよ」
声をかけられ、顔をあげるとミシェルがいた。
「起きてます。……いつからいましたか?」
「さあ……、ちょっと前?」
「ぜんぜん気づかなかった……」
私はミシェルの顔を見ながらふと考えた。
そういえば彼は悪魔なのになぜ教会に来るんだろう。
ていうか悪魔といえば……。いや、でも教会でこんな話してもいいのかな……。
ミシェルは私の顔をのぞきこんだ。
「寝ぼけてる?」
「起きてます。あの……」
「なに?」