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冬の夕空

第3章 燃える夜空


「ありがとう」

とミシェルは笑顔で言った。そして続ける。

「じゃあ約束のくちづけをしよう」

え?

ミシェルは私の頬を片手で持ち上げた。
緑色の瞳で私の目をのぞきこむ。

「いや?」

私は彼の瞳に吸い込まれそうな気持ちになった。顔が熱くなる。

「いや……じゃないです……」

彼は私の耳の横の髪をそっとうしろに流す。そして少しだけやさしい声で言った。

「目を閉じて」

目を閉じる。だけど彼の顔が近づいてくるのはわかった。

初めてのキス……を、ミシェルと……。

彼は私の髪をそっとなで、そのまま頭を引きよせた。
唇がふれる。
と、彼は舌を差し入れてきた。

え……?

思わず身体が引けるが頭を支えられていた。
あたたかくて……やわらかい……舌……で、下唇をゆっくりとなぞられる。

よく……わからないんだけど……こんなとき口を開けたほうがいいのかな……。

彼は下唇に軽く吸い付きチュと音を立てる。

「舌を出して。こう」

彼はそう言って舌を少し出してみせる。
私はおそるおそる舌を出し、彼の舌先にふれた。
彼は私のあごを持ち上げ、口の中に舌をもぐりこませる。
舌の下側をそっとなぞる。

「んっ……」

ふさがれたままの口から思わず声がもれる。
彼はゆっくりと舌を、口の中でそっと、舌のまわりでぐるっと動かす。
私は彼の腕をぎゅっとつかむ。
そして彼は唇で私の舌に軽く吸いつきながら、耳の後ろをそっと指でなでる。

「……ん、……ぅん……」

ため息がもれる。
ゆっくりと唇が離される。

彼は親指で私の濡れた唇をぬぐった。
そっと彼の瞳を見上げる。
彼は私の目をのぞきこむ。

「初めてだった?」

そう言われ、私はただ無言でうなずく。

「僕も女としたのは初めて」

彼はにっこりと微笑む。

「どうだった?」

彼にそう言われ、考えてみる。

「よく……わからなかった……」

「そうか」

私の耳の横の髪を軽く引っ張りながら、彼は言った。

「じゃあもう一回」



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