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冬の夕空

第3章 燃える夜空


オーナーに請求書を届けるお使いを頼まれ、私は夜の花街を歩いていた。といってもまだ時間は早いのでそんなに妖しい雰囲気はない。だけど夕方以降に花街を歩くと、いろいろ誘いが多くて面倒だそうだ。今日はこの用事が終われば帰っていいと言われたので私の足取りは軽い。
 
最後の店に向かう。少し落ち着いた場所にある高級遊郭。

その店は燃えていた。

勢いよく窓から火が吹き出ていたが燃え始めたばかりらしい。野次馬はまだ集まっていなかった。私は呆然としたまま立ち尽くす。

ふと視線を感じて上を見る。屋根の上、炎がまぶしくてよく見えないけど……、黒い翼の、大きな鳥……ちがう……人?

似ている……。

それは夜空に向かって飛び立った。思わずその方向へと私も走った。けれど、すぐに見失った。

火事に興奮して幻覚を見てしまった……のかな……。

それよりも誰か消防車は呼んだろうか。
私は路地裏の行き止まりにたどり着いていた。とりあえず来た道を引き返し元の場所に戻ろう……。

振り返ると、ミシェルが立っていた。
コートのポケットに手を突っ込んで。

私は息を飲んだ。


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