第27章 無双学園生徒会執行部。『April』(逆ハー)
「私では力不足だと思って…その、他にもっとやる気のある人がたくさんいると思うしですね…」
「そうか、でもね私は君がいいんだ」
「………へ」
ニコリと笑って真田会長はそう言った。
聞き間違いじゃないだろうか…。
「君のそのずば抜けた運の良さは我々生徒会のプラスになると思ってね、それに私達に媚びないその態度もいい」
「あの…会長…?」
「何、悪いようにはしないさ」
サラリと綺麗な銀髪が揺れ、会長との距離が縮まる。
長い指がそっと私の頬に触れた。
「雑務…お願い出来るよね?」
「…………………………はい」
有無を言わさぬ圧を感じ取った私は首を縦に振るしかなかった。
こうして私は晴れて生徒会雑務のポジションについてしまったのだ。
「良かった…今日の放課後から頼む、迎えを寄越そう」
「……はい」
話を終えて生徒会室を出ようとすると入れ替わりで入って来た人とぶつかってしまった。
「おっと…!ごめん!」
「や…平気ですので、失礼します」
顔もろくに見ず、ペコリと頭を下げてその場を後にした。
迎えを寄越す=逃げられない。
放課後を想像してガックリと肩を落とした。
「会長、今の…」
「そう、雑務に就任した二年のさん」
「やっぱり!」
「豊久、放課後教室まで彼女を迎えに行ってくれるかい?」
「おう!お安いご用っ!」
私はただ普通に通って普通に勉強して…普通に生活したいだけなのに。
確かに…運は人より良いのはわかってるのだけど。
それだって全面的に押し出したいわけじゃない。
生徒会なんて入ったら目立ってしまうじゃないか。
他の女子から目の敵にされるじゃないか!
考えながら歩いているといつの間にか教室の前に着いていた。
扉を開けると一瞬クラス中がざわめいて、あっという間に静かになる。
(……し、視線が痛い………)
生徒会に決まった私に向けられる好奇な視線をなるべく気にしないようにして席に着いた。
放課後まで気配を消して過ごそう……。
来て欲しくないと思っても時間は無情にも過ぎていくもので、放課後はやってきてしまった。