第24章 嫉妬ストラテジスト(小早川隆景)
半兵衛達が去った部屋に突然訪れた静粛。
「半兵衛様はとても賑やかな方ですね」
広げられた本をまとめながらはクスリと笑みを溢した。
「…………」
「隆景様?」
返事のない隆景を不思議に思い、目線を本から隆景へと向ける。
隆景はただ黙ってを見つめていた。
強い視線がの目と合った。
バチッと音が聞こえそうな程の視線にの心臓が速まる。
「…先程言い掛けていた続きを聞かせて貰いたいのですが」
「続き…あ…!」
不意に腕を引かれ、隆景の腕の中に収まる。
強い視線。
笑みを見せているが、その笑みがいつもの隆景と違うと言う事をは感じ取っていた。
逸らせない。
「、聞かせて…?貴方は毛利家に仕えている、それに?それに…何でしょうか」
「…それ、に……///」
の背に回された隆景の腕がゆっくりと降下しての着物の帯に掛かる。
「た、隆景様…っ」
「教えて下さい」
「……っ!」
シュルリと言う帯が解ける音が部屋に響いた。
締め付けが急になくなり、この先の展開を想像しての頬は上気する。
「毛利家に仕えている身なのは勿論…私は…隆景様の側から離れるなど考えられません……っ」
羞恥で涙目になりながらも隆景から目を逸らさずには言葉を紡いだ。
「んっ…!」
不意に唇を重ねられる。
目をギュッと瞑った拍子にの目尻からは涙が一筋溢れ落ちた。
「それを聞いて安心しました」
「隆景、様…?」
「こんなにも…私の心を乱すのは貴方はだけです」
心を捕らえたのは自分だと思っていたのに、実は捕らわれていたのかもしれない。
の肩口に顔を寄せながら隆景はそんな事を思っていた。
「少し…我慢してくださいね」
「え?…あっ……!ひゃあっ!」
首筋に小さな痛みが走る。
隆景はそれを目で確認して満足気に笑った。
の首筋に咲いた小さな赤い華。
「今日は、これで許してあげます」
「え?え?」
自分の身に起きた事にまだ気付かないは首を傾げて隆景を見つめるが、隆景から答えは貰えそうになかった。