第24章 嫉妬ストラテジスト(小早川隆景)
「そうそう!そこからの展開が面白いよねぇ~!さすがの俺でもその展開は読めなかったなぁ~」
「はい!私もそう思います…!面白くて一気に読み進めてしまいました!」
「………」
豊臣と毛利が協定を結んで以来、豊臣の両兵衛…つまり黒田官兵衛と竹中半兵衛は度々毛利の屋敷を訪れる。
無論、任務あっての訪問。
だがこの豊臣と毛利の縁は隆景にとって面白くない縁も結んでしまった。
「…半兵衛殿はここにいても良いのですか?」
「平気平気~、元就さんと官兵衛殿に任せておけば間違いなんて起こらないよ」
「…そうですか」
「それより俺はここでと本の話してる方が有意義!」
何度か訪れている内に隆景を通して知り合った半兵衛とは本の話題ですっかり意気投合してしまっていた。
その事が面白くない。
だが、そんな事口には出来ないし悟られるわけにもいかなかった。
二人に気付かれないよう、隆景はほんの僅かな溜め息をついた。
「隆景様もこのお話は御存知でしたよね」
「えぇ、読んだのは少し前ですが」
無邪気に隆景に話を振るに隆景は優しく微笑み掛ける。
「ねぇ、?大坂に来れば俺の本読み放題なんだけど、一緒に大坂来る気ない?」
「えぇっ?!」
半兵衛の急な誘いには目を丸くして驚いた。
「ね?そうしよ?は可愛いから秀吉様に言えばたっくさーん本を買って貰えるよ!」
「は、半兵衛様!お誘いは有り難いのですが、私は毛利家に仕えている身ですので…それに…」
「半兵衛」
の言葉を遮るように割って入った低い声は官兵衛のものだった。
「いつまでここで油を売っている、用は済んだ引き上げるぞ」
「えーもう?相変わらず仕事早いなぁ~、官兵衛殿」
「だらだらとした話し合いからは何も得られぬ」
「はいはいっと~!じゃあ隆景さん、、まったね~」
立ち上がった半兵衛は隆景とに手をヒラヒラと振って笑顔を見せた。
「道中お気を付けて」
隆景の言葉に続くようにしては深々と頭を下げた。