第23章 You're the one for me ~forth~
黙ったまま小川に小石を投げる豊久の腕をは遠慮がちに引いた。
「…っと、?」
振り返った豊久にそっと微笑みかけるとは地面を指差した。
『改めて、兄を助けてくれてありがとうございました』
『失わなくて本当に良かった』
『たった一人の家族だから』
『来てくれて本当にありがとうございました』
豊久が呆けてる間に地面にはたくさんの言葉が並んでいた。
「あ……」
豊久は全て読み終えた後、視線をに向ける。
ははにかんだ様に微笑み豊久をただただ見つめていた。
「…っ///」
上手く言葉が出てこない。
こんな時、どんな顔をしていたんだっけ。
豊久は赤くなった顔を隠すように下を向いた。
「……?」
そんな豊久を見ての胸はチクリと痛む。
もしかしたら豊久は頼ってばかりの自分に嫌気が差してしまったのかも知れない。
そんな所にまで考えが及んでいた。
だとしたら、いつまでも此処に居ては駄目ではないか。
(叶うなら……)
叶うならこのまま側にいたい。
「……!」
あぁ、そうか。
私は豊久様の側にいたいんだ。
この方を好いてしまっているんだ。
「………っ」
知らず知らずの内にの目からは涙が溢れていた。
「……?」
「…!!」
涙に気付いた豊久が声を掛けた。
だが、は膝を抱えて座り顔を着物の袖で隠した。
「な、泣いてるのか?!」
慌てて豊久が尋ねてもは首を横に振るだけだった。
「………」
震える肩を見ればそんなの嘘だってすぐに分かる。
「…ごめん!!!俺の態度がこんなだからだよな…俺!なんかわからなくなってて…!泣かせたいわけじゃないんだ!俺…!が…!!」
顔を上げたと豊久の目がパチリと合った。
「好きなんだ…俺!が…!」
「……!」
「それで…意識してたらなんか上手く話せなくて…本当にごめん!」
「………」
この方は自分が今何を言ったのかわかってるのだろうか。