第23章 You're the one for me ~forth~
「おう、ちゃん!颯の具合はどうだい?!」
八百屋に着くと店主がいの一番に颯の様子を訊ねてきた。
村の人達はみんな家族のようにと颯に接してくれる。
その事が父や母を失った寂しさを和らげてくれていた。
は颯が順調に回復していると言う意味を込めて大きく頷いた。
「そうかい!早く全快出来るようにうちの野菜たんと食べてくれよ!」
そう言うと店主はドッサリとの持っていた篭に野菜を入れた。
突然の重さによろめいただったが、すぐに店主にとびきりの笑顔を向ける。
そしてペコリと頭を下げて家に戻った。
「…やっぱり、別嬪さんは笑ってるのが一番だなぁ!」
の笑顔は周りを幸せな気持ちにする。
そこに歌声が戻れば、颯同様に村人達もそう願わずにはいられなかった。
家に戻る道中、
「っ!」
「……?」
突然後ろから声を掛けられたかと思うと目の前に土埃を立てて馬が止まった。
「……!」(あ……!)
「!会いに来た!」
飛ぶ様に馬を降りたのは豊久だった。
空に昇る太陽の様な眩しい笑顔をに向ける。
ドキン
(あれ……?)
豊久の顔を見た途端に鼓動が大きくなる。
は胸元を手でそっと押さえた。
もう一度豊久の顔を見つめる。
ドキン
(また、だ…なんだろう……)
「?」
「…!」(いけない!…呆けるなんて失礼だよね…)
不思議そうに首を傾げる豊久をは自宅へと誘った。
「家に?いいのか?」
は笑顔で頷いた。