第13章 熱情ストラテジスト(小早川隆景)
「わかったらもう隆景様の元へ行くのはお止めなさい」
「………」
わかっていても、それでも私は
「姉様、ごめんなさい」
「わかれば良いのよ、」
「…違います」
「え?」
はっきりとわかる事は一つだけなの。
隆景様にどう思われていようと、今の関係が気まぐれであろうと。
「私は、隆景様のお側に居たいのです…好きなのです!」
優しい貴方が
柔らかい貴方が
好き。
「…」
「っ!?隆景様っ!?」
聞かれていた!
どうしよう、どうしよう、どうしよう!
恥ずかしさで逃げ出したい。
そんな私とは反対に落ち着いた口調で隆景様は姉様に言う。
「元親様からの書物が届くのは明日だそうです、この雨で一日遅れるとか」
「…そうですか」
姉様は驚いたように目を泳がせた。
「あまり…私のを苛めないで下さいね」
ニコリと隆景様が姉様に笑いかけると姉様は足早にその場を後にした。
その場に残された私と隆景様の間には沈黙が訪れる。
(どうしよう…)
「…、部屋に戻りましょう」
「あ、いえ…私書物を運びに!//」
「書物が届くのは明日ですよ、聞いていませんでしたか?」
「じゃ、じゃあ食事の用意に…!」
「まだ夕食には早いですよ」
どうにか立ち去ろうとする私の手を掴み、隆景様は強引に部屋へと連れていく。