第40章 無双学園生徒会執行部。『March』(逆ハー)
「……お前が言った通りだったな、三成。はちゃんと切り抜けた」
「…………そうだな」
清正と信之、そして三成は穏やかな顔で花弁の舞う空を見上げた。
「真田会長、清正先輩、三成先輩、卒業おめでとうございます」
「隆景、もう会長は君だろう?」
「はは、そうでしたね」
「隆景、これは…君達の予めの案なのか?」
手のひらに乗せた花弁を見せながら信之は問う。
隆景はそれに笑って首を振った。
「いいえ、これは…が」
「そうか…綺麗だな」
「はい、彼女にしか思い付かなかった事です」
二人の会話を背に三成は校舎へと向かう。
「三成、行くのか」
「あぁ…きっと屋上で呆けてる筈だからな、お前も信之も早くしないと囲まれるぞ」
「そうだな、おい隆景!生徒会室借りていいか?」
三成の言う通り、制服のボタンやネクタイなどを貰おうと校門の前では在校生達が生徒会メンバーを待ち構えていた。
それ故、清正と信之は生徒会室で人が捌けるのを待つ事に決めた。
隆景、直政、豊久もそれに続く。
そんな中、三成は一人屋上へと急いだ。
静かに屋上の扉を開ける。
普段人がほとんど来ない屋上への階段の埃っぽさを一掃する爽やかな春の風が扉から入り込む。
一瞬目を閉じた三成が再び目を開けた時見えたのは、一人でしゃがみこむ小さな背中。
泣いているのか、それともやり切った達成感に微笑んでいるのか。
ここからではわからなかった。
「……」
呼ばれた声に反応してはそっと後ろを振り返った。
「三成、先輩……」
は三成の顔を見ると安堵の笑みを見せ、そして目に溜めていた涙を溢した。
泣きながら笑っている、自分の思っていた見解がどちらも当たっていた事に三成も思わず笑みを溢した。
そしてに歩み寄ると優しくその手を引いて自分の腕の中へと収める。
「…私の行動は、正しかったのでしょうか……」
三成の胸に額を寄せ、震える声では言った。
「何を言っている」
「え……?」
「ここからでも十分聞こえるだろう」
三成が視線をフェンスの下へと落とす。
聞こえたのは、卒業生や在校生、先生達の喜んでいる声だった。