第40章 無双学園生徒会執行部。『March』(逆ハー)
「先生っ…!休まず手動かして下さいっ!」
「わかってるよ!もー…!なんで俺が手伝わなきゃいけないのさ…」
「この晴れの日に保健室で居眠りしてるからですよ!竹中先生っ!」
学校の屋上、ここの真下は校門へと繋がる卒業生達の花道。
三軒目のお花屋さんに断られ、途方に暮れた私が足を止めたのは結婚式場の目の前だった。
そこで目にしたのは幸せそうに微笑む花嫁さんのポスター。
その背景には…色とりどりのフラワーシャワーが写っていた。
『これだ…!』
事情を説明する私に支配人の男性はにっこりと微笑んで頷いてくれた。
『お金の話や細かい事は後回しにしましょう、皆が貴女を待っているのでしょう?』
『ホントに…協力して頂ける、んですか…?』
『もちろん、ここは来た人を笑顔にする場所だからね。何より…後輩達の一大事だ』
『後輩達って…もしかして……』
『えぇ、私は無双学園のOBなんですよ』
そこからは話がとてもスピーディーに進んだ。
たくさんのフラワーシャワーを抱えて学校へと走り込む。
「ありがとうございましたっ!全部終わったら必ずまた伺います!」
「気を付けて、良い卒業式を!」
学校まで車で送ってくれた支配人さんに頭を下げる。
急いで屋上へ、とその時保健室の窓のカーテンが揺れるのが目に留まる。
それを見た時にピンときた。
あの人絶対サボってる…………!!
私の予想通り気持ち良さそうに寝ていた竹中先生を屋上まで引き摺って現在に至る。
「竹中先生、いつかお礼しますからっ…!今はお願いしますっ…」
「俺の昼寝ぇ~っ」
私達の手のひらから放たれた花弁達はひらひらと踊りながら舞い落ちる。
結婚式とは違うけど、フラワーシャワーに込めた思いは同じ。
先輩達の未来が、幸せでありますように…。