第40章 無双学園生徒会執行部。『March』(逆ハー)
「花弁、すごい綺麗だったね!」
「ね!歩いてて気持ち良かった~!」
「来年の俺達の卒業式もこれにして欲しいよな」
「ちょっと気が早すぎ!(笑)」
「………」
下から聞こえてくる笑い声と明るい話し声。
見えなくたってその表情がキラキラしてるんだろうって私にもわかる。
ボーっとしてて、聞こえてなかった。
皆こんなに喜んでくれていたんだ。
「お前は立派に仕事をやり遂げた」
三成先輩の声に顔をゆっくりと上げると、先輩はとても穏やかな顔をして笑ってくれていた。
「せんぱ…、私…っ」
三成先輩の腕に触れたくて手を伸ばそうとするけど上手く力が入らない。
立ち上がりたくても、足が震えて立てない。
「朝から今まで走りっぱなしだったんだろう?腕だってここでずっと酷使していたのだ、無理をするな」
そうか。
私、ずっと無我夢中で…。
でも、もういいんだ。
しゃがみこんだままの私に三成先輩がスッと花を差し出した。
それは卒業生が身に付けるブートニア。
「お前を好きになった事、俺はとても誇らしい」
「三成先輩……」
「この先も、俺と共に居て欲しい」
私は力の出ない腕を目一杯伸ばしてその花を受け取る。
これから生活の場が違っても、会えない日があっても、私は三成先輩を好きでいたい。
「私も、三成先輩と一緒にいたいです…!ずっと好きでいたいです…!」
ブートニアを受け取った私の手を三成先輩の手が包み込む。
ゆっくりと寄せられた顔に呼応するように私は静かに目を閉じた。
春の花の香りと暖かな日射しを感じながら、私達の唇は音もなく静かに重なり合った。
「…言っておくが、俺の言う『この先』とは2、3年の話ではないのだよ」
「……え、と…?」
「一生だ」
「……せ、先輩!?」
END.