第40章 無双学園生徒会執行部。『March』(逆ハー)
卒業式も終盤に差し掛かる。
ホール入り口にはまだの姿はない。
間に合わなかった。
隆景にも直政にも豊久にも、そう脳裏に浮かんだ。
「卒業生、退場」
司会の先生の言葉と共に三年生が一斉に立ち上がる。
「隆景、もうこれ以上は…!」
直政が隆景にそう声を掛けた次の瞬間には最初のクラスがホールを出た。
次々とホールを出ていく卒業生の背中を見つめ、隆景は唇を噛み締めた。
先輩達の花道を、自分達は作れなかった。
会長として責任を取る覚悟をを見送った後から隆景は心に持っていた。
「ねぇ、どうして花がないの…?」
「え…寂しくない…?」
ざわざわとざわめき立つ周囲に清正と信之も心配そうな表情を浮かべる。
「おい、信之…」
「あぁ、だが……」
「心配ない」
凛とした声が二人の間を通り抜けた。
「三成…」
「アイツ等なら大丈夫だ」
真っ直ぐに、前を向いて。
三成は花のない道を堂々と胸を張り歩き出した。
その時だった。
白い一枚の花弁が三成の頬を優しく掠めていった。
「わぁっ……!すごい…!!」
「…?」
ホールの外から聞こえてきた女生徒の声が三人の耳に届いた。
「今…」
「あぁ、俺も聞こえた」
「行こう!俺達も…っ!」
一体、何が起こったのか。
卒業生も保護者も全て見送ってから隆景達は席を立ち、ホールの扉を開いた。
「これ、は……」
「花……?」
「きっと、先輩だ……!!」
三人が見た光景は、青空から絶え間なく舞い落ちる白やピンクの花弁達ーーーーーー。