第40章 無双学園生徒会執行部。『March』(逆ハー)
「豊久…!戻ったのですね…」
「で、花はどうだった?」
卒業式の行われるホールで豊久を迎えた隆景と直政は安堵の表情を見せる。
が、すぐに厳しい表情に変わる。
「ごめん、会長…花は……」
悔しそうに顔を歪めながらそう呟いた豊久の肩を隆景は叩いた。
「を…信じましょう」
会場を見渡せば多くの保護者や来賓の姿がある。
その顔は誰もがこの晴れの式に相応しく、三年生の入場を心待ちにしていた。
その門出に、泥を塗るわけにはいかないのだ。
隆景の額には珍しく汗が滲んでいた。
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最後の希望であった、大通り三軒目のお花屋さんもダメだった。
「この先に、お花屋さんはもう…」
足を止めると急に足が鉛のように重くなった。
このままじゃ、先輩達の卒業式が……!!
涙が浮かんで目の前が滲む。
その時だった。
リンゴーン…リンゴーン………
「……!」
胸に鳴り響いた鐘の音。
反射的に顔を上げる。
あぁ、私が足を止めたこの場所は………。
私は涙を拭って目の前の重厚な扉に手を掛けた。
まだ、完全に希望を失ったわけじゃないんだ…!