第40章 無双学園生徒会執行部。『March』(逆ハー)
やる事は一つ。
卒業式が終わる二時間後までに花道に飾る鉢植えの花を見つけて来る事。
数は…最低でも五十は必要だ。
「先輩…!!」
「豊久くん…!?」
「俺も行く!こんな状況で黙って式に出てられない!」
「でも…!」
生徒会執行部が二人も卒業式に出ないなんて前代未聞だ。
「わかった…でも豊久くん、卒業式には出て。式が始まるまでまだ時間はあるからそれまで一緒に探そう」
「……わかった」
良かった、納得してくれた。
豊久くんも卒業式に生徒会が参加する事の重要さをわかっているのだろう。
眉を下げて小さく頷いていた。
「駅前を探してくる!」
「じゃあ私は大通りの方を!」
連絡を確実に取り合えるように、携帯は豊久くんと通話中にして二手に分かれる。
「大通りのお花屋さんは、確か、三軒…!」
走りながら頭で位置を確認する。
一番近いお花屋さんは大通りに出てすぐだ。
そうこう考えている内に看板が見えてくる。
私は祈るような気持ちで開店準備中のシャッターを叩いた。
「開店前にすみません…っ!話を聞いてもらえますか…っ!」
店主のおじさんは飛び込んできた私にとても驚いていたけれど、話は聞いてくれた。
その上で、
「それだけの数はとても今からでは用意できないよ、力になれなくて申し訳ないが…」
返ってきた返事はこうだった。
「わかりました…無理を言ってこちらこそすみませんでした。話を聞いて下さってありがとうございました」
頭を下げて次の店へ。
落ち込んでいる時間なんて、ないんだ…!
その後に訪ねた二軒目のお花屋さんにもあっさりと断られてしまった。
携帯を見ると卒業式開始まで後30分を切っていた。
「豊久くん、聞こえる?」
「先輩…!こっちはダメだった…そっちは?!」
「こっちも断られてる」
「じゃあ隣駅の方まで行ってみる!俺…っ」
「豊久くんはもう学校へ戻って…卒業式が始まっちゃう」
駅前から学校まで20分は掛かる。
豊久くんの足でも15分は見ておいた方がいい。
「隆景くん達に伝えて、必ず何とかするからって」
「先ぱーーー」
私はそこで通話を切った。