第39章 無双学園生徒会執行部。『February』(逆ハー)
「三成先輩…っ!!」
三年生の教室だって事も忘れて、私は勢い良く扉を開ける。
まだ登校時間中で教室にはまばらに人がいるだけだったけれど、十分に目立ってしまっている。
でも、そんな事気にしてられない。
「……?」
視線の先には驚いた顔をした三成先輩。
良かった、教室にいてくれた。
「あの…っ!私……」
「ちょっと待て、場所を移そう。目立ち過ぎだ」
「あ……、はい…」
三成先輩は私の手を引いて教室を出た。
繋がれた手から体温が伝わる。
何だか久しぶりに三成先輩に触れた気がして、胸がざわめく。
着いた場所は図書準備室。
「ここなら…人も来ないだろう」
朝の図書室には人なんかいなくて、その隣の準備室は更に静かだった。
「なんだかここも懐かしいですね…」
生徒会に入ってすぐ、その事に嫉妬した三年生の先輩にここで叩かれそうになった所を三成先輩が助けてくれた。
思えば、そこから三成先輩を特別視するようになったのかもしれない。
先輩の顔を見つめると目の下にうっすらと隈が出来ている。
井伊くんの言う通りだ、私のせい。
「三成先輩、心配掛けてごめんなさい」
手を伸ばしてそっと彼の頬に触れる。
少し、驚いた顔をしていた。
「…?」
「先輩の言う通り…私に生徒会会計の仕事が務まるか悩んでいました、三成先輩と同じ様にこなせるか自信がなかったから。それに……」
泣かずに伝えようと思っていたのに、涙は言う事を聞いてくれない。
それでも視線だけは外さずに、三成先輩の目を見つめた。
「…4月から、先輩が学校に…生徒会室にいないのが、どうしようもなく寂しくてっ…」
「…………」
「でも、困らせたくなくて…平気なふりをしていました…そのせいで余計な心配を…、ごめんなさい」
黙って私の拙い話に耳を傾けてくれていた三成先輩は小さく息を吐いてから口を開いた。
「理由を言え」
「…理由……?」
「そうだ」
何の理由かわからずに瞬きを数回した後、先輩の唇が私の唇に重ねられた。