第39章 無双学園生徒会執行部。『February』(逆ハー)
「おい」
それから一週間経ってしまった。
ちゃんと会長に返事をしなくちゃ。
この一週間、色々考えすぎてしっかりと眠れなかった気がする。
朝、日課の生徒会室の掃除を終えた所で井伊くんに呼び止められた。
「井伊くん、おはよう。どうしたの?」
「どうしたの、はこっちの台詞だ」
「え……」
「気付いていないのか、お前ひどい顔をしている」
思わず両手で頬を押さえる。
「あぁ、石田先輩も同じ顔をしていたな」
「……三成、先輩が?」
どうして。
もしかして、私のせい…?
「ハァ…ダメだダメ過ぎる」
「井伊くん……」
「あの人、お前の背中ばかり見ているぞ」
「……!」
「それってお前が背を向けてるって事だろうが」
私の様子が変だって、三成先輩は気付いてたのに。
私は平気なフリをして…無理して。
井伊くんに言われるまで気付いてなかった。
「…お前の言う心を許してる人ってあの人なんじゃないのか」
「…………」
「今のお前には何の魅力も感じない、惚れた相手にくらい全力でぶつかれよ」
「……っ」
心に、
ずっと溜め込んでいたモノが、涙となって溢れ出す。
「ここで泣くな、早く行け」
「……!、うん…ありがとう、井伊くんっ…」
涙をゴシゴシと拭って私は廊下を駆け出した。
三成先輩、ごめんなさい。
先輩は私が話すのをずっと待っててくれているんですよね。
不安とか、寂しいとか、まとまらない言葉でも三成先輩はいつだってちゃんと受け止めてくれる事。
私は知っていた筈なのに。
「もう逃げない……っ」
「俺も大概ダメだけどな…」
の去った廊下を見つめて直政はポツリと呟いた。
「おや、失恋かい?」
「会長……盗み聞きとは良い趣味ですね」
「たまたまさ」
とは逆方向の廊下から現れた信之に嫌味を言うも笑ってさらりと流される。
「……別に失恋ではないですよ」
「そうか」
「アイツは一生懸命に人と向き合ってる方が良いと思っただけです」
「彼女は人の気持ちを大切にする子だからね、来年度は是非支えてやってくれ次期副会長」
「……また不甲斐ない顔してたら厳しく言いますけどね」