第39章 無双学園生徒会執行部。『February』(逆ハー)
「…お前が俺を困らせてはいけない理由はなんだ」
「……!」
「そもそもお前の本心を聞いて…俺が困ると思うのか」
「三成、先輩…」
私は、どうして忘れていたのだろう。
文化祭の時も怖くて泣きじゃくった私を抱き締めてくれたのに。
この人の優しさを、懐の深さを知りながら…何を不安に思うのだろう。
「……やっとわかったか、馬鹿…」
そう言って、三成先輩は小さく笑みを溢した。
頼っていいんだと、寄り掛かっていいんだと、思っただけでひどく安心する。
あぁ、この人を好きになって良かったと心から思う。
「ずっとお預けをくらう俺の気持ちも考えろ」
「…お預け?」
「満足にに触れられていないのだよ」
「……っ!」
ほんわりと温かかった空気が一変して色気を纏ったモノになる。
「あの…、先輩…?」
「やめろと言っても無駄だからな」
「えと……は、はい…私も先輩に触れたい、です…」
勇気を出して言った言葉。
チラリと三成先輩の顔を見ると赤面した彼がいた。
あ、ちょっとレアかも…。
「お前と言う奴は…!」
「ひゃ……っ!?」
そんな事を考えている内に体がくるりと反転して背中が机の上にピッタリと付く。
端に積み上げられている難しそうな参考書からは紙の匂いがした。
「せ、先輩……?」
「キスなど…そんな簡単な事で済まされると思うなよ」
「えぇ…っ!?ちょっ…待っ…!」
「言ったはずだ、やめろと言っても無駄だと」
「三成先輩…っ!あ…!……んぅ…っ!?」
唇を塞がれて交じり合う体温に強張った心は簡単に溶かされてしまう。
この先の熱を期待してるって自分でもわかってしまうんだ。
恥ずかしい。
でも、嬉しい。
その気持ちを言葉にする事はハードルが高くて。
瞼を閉じて、三成先輩の制服の裾をそっと掴む事でそれを伝える事にした。
2月の朝はまだ寒いけど、確実に春はそこまで来ているのだ。
END.