第36章 無双学園生徒会執行部。『November』(逆ハー)
文化祭まで私達生徒会は怒濤の忙しさだった。
それこそ豊久くんや隆景くんとも顏は合わせていたが、気まずいなんて言っていられないほど。
「、これを実行委員へ至急届けて下さい」
「わかった、今何処で会議中?」
「3年の確か…」
「あ!2組だって!さっき聞いた!」
「ありがとう豊久くん、行ってきます!」
私は出来上がったばかりの資料を抱えて生徒会室を飛び出した。
「…っと、」
「…急に飛び出すな」
「っす、み、ません…!行ってきます!」
私とは反対に、生徒会へ入ろうとしていた三成先輩とぶつかってしまう。
胸に飛び込む形でしっかりと抱き止められてしまった。
一気に顏に熱が集まる。
あぁ、情けない。
気持ちに気付いた途端にこれだもの。
もう一度、すみませんと言い残し私は会議をしている教室へと向かう。
「あ、おい!」
「……?」
呼び止められて振り向いた。
三成先輩の顏、久しぶりにちゃんと見た気がするなぁ…。
「…文化祭の後、予定はどうなっている」
「え…?あ、えっと、確か17時からの後夜祭では生徒会は校内見回りだけで…特に大きな仕事はありません」
「…違う、お前の予定だ」
「私?!…ですか?私は…何も、」
そう答えると三成先輩は何処か安堵した様な表情を浮かべた。
「なら、後夜祭は俺といろ」
「!!………はいっ」
17時に自分のクラスにいろ、迎えに行く。
そう告げて三成先輩は生徒会へと入っていった。
約束。
その響きだけでこんなにも心が躍る。
温かくて何処かくすぐったい気持ちになる。
三成先輩を好きにならなければ、こんな気持ちは知らないままだっただろう。
浮かれ切っていた私は、自分を射抜く強い視線にも気付かずにいた。
そして迎えた文化祭当日。
晴天に恵まれたためか、父兄や他校生の姿も多く見られた。
「信之様ーーっ!!」
「やばい!!本物…イケメン過ぎっ!」
会長は姿を見せるや否やあっという間に他校生の女の子たちに囲まれてしまう。
それを良しと思わない在校生の女の子たちと揉めそうな勢いだった。
「会長すごい……大丈夫ですかね?」
「信之だぞ?大丈夫だろ、ホラ行くぞ」
「はい」
今日の午前中は予定通り清正先輩と文化祭を回る。