第35章 無双学園生徒会執行部。『October』(逆ハー)
騎馬戦も大詰め。
大将一騎討ち戦が行われようとしている頃、私は救護テントに戻った。
「遅い」
「す、すいません…」
「騎馬戦終わったら滅茶苦茶忙しくなるんだからしっかりしてよね」
「はい…」
だったら保健委員に頼めば良いのにって言葉が喉元まで出かかったけど何とか飲み込んだ。
「文句ありそうな顔してるけど?」
「イエ、メッソウモゴザイマセン」
「いーのかなー?豊久とのデートは誰のおか「あー!だから文句ないですってば!」
とんでもないことを口走ろうとする先生の言葉を遮って言葉を被せる。
「お、騎馬戦終わったみたいだね。消毒液用意して、後タオルたっくさん!」
「「「はい!」」」
先生の指示通りに他の救護班の人達が慌ただしく動き出す。
騎馬戦の後は毎年野戦病院化するそうだ。
そして先生の言っていた通り、騎馬戦終了後の救護テントは怪我人でごった返す事になる。
「だから!傷口を水で洗ってから来いって言ったでしょ!次!打撲?氷誰か持って来て!」
竹中先生の指示が飛ぶ中、私も次々に来る怪我人の手当てに追われていた。
「…これでよし!」
「お、終わった………」
大体の処置が終わり落ちついて来た頃、アナウンスが聞こえた。
「続いては、借り物競走です。出場する生徒は入場門に集合してください」
「あ、借り物競走」
「何?さん出んの?」
「…出れるわけないじゃないですか、今日は一日救護班ですもん」
「アハハ、だよねー」
「同じ生徒会役員が出るんです」
「へぇ」
パンッとピストルの音が鳴り響いて借り物競走が始まった。
スタート地点に視線を送ると隆景くんが並んでいるのが見えた。
あ、隆景くん割りと前半に走るのか。
「片付いたから座ってて良いよ、借り物競走じゃ怪我人出ないだろうし」
「あ、はい」
パイプ椅子に座って、何気なく机の上のプログラムを見る。
次は1年生のリレーか。
豊久くん出るって言ってたなぁ…。
ボンヤリとそんな事を考えているとプログラムに影がかかる。
何かと思い顔を上げるとそこに立っていたのは隆景くんだった。
「た、かかげくん…?」
「竹中先生、お借りします」
「えっ?えっ?!えぇーー?!!」
手首を掴まれたかと思ったらそのまま立ち上がらされて走り出した。