第35章 無双学園生徒会執行部。『October』(逆ハー)
「二学年男子、騎馬戦に出場する生徒は入場門まで…」
校舎内、校庭と大音量のアナウンスが鳴り響いた。
「隆景くんは騎馬戦出ないの?」
「えぇ、私は借り物競走だけです」
「借り物競走?へぇ…意外!」
サボってる生徒がいないか、校舎内を見回るのも生徒会の仕事。
今は私と隆景くんで回っていた。
その他にも体育祭実行委員への指示(主に三成先輩が)だったり、用具の確認だったり、まだ体育祭終わってもないのに片付けの事まで考えなければならない。
「そうですか?…は何に出るんです?」
「うん、それがね…救護班の子が体調不良で昨日からお休みでね。私競技には出ずに一日救護班なの」
「救護班?」
「うん…なんか、竹中先生のご指名で…」
そうなのだ。
救護班に欠員が出たなら、保健委員から代理を立てれば良いはずなのに竹中先生は私を指名した。
先月豊久くんと出掛けた時の事があるから断るなんて出来なかったし…。
『さん、豊久の元気付けたい好きな子って君でしょ?明日の救護班の補助お願い出来るよね?』
良い玩具を見つけた子どもみたいな顔で昨日そう竹中先生に言われた。
「……指名で?」
「あ、もう戻らなくちゃ!ごめん隆景くん見回り後よろしく!」
一瞬隆景の柔らかい顔が強張ったのが気になったけど、それより竹中先生の方が怖い。
時間に遅れたりしたら何を言われるかわかったもんじゃない。
私はパタパタと走り、誰もいない校舎を進み校庭の救護テントへと戻った。
「あれはまた、何かありましたね…全くうかうかしている場合じゃなさそうですね」
一人になった隆景は印刷室に立ち寄って小さな紙にさらりと文字を書き記した。
それをジャージのポケットに入れて校舎を後にした。