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戦国夢想(戦国無双3、戦国無双4)

第34章 無双学園生徒会執行部。『September』(逆ハー)



水槽の中を優雅に泳ぐ魚達はとても綺麗で涼しげで、残暑の厳しさを忘れさせてくれた。

横に視線を移せば豊久くんが常に笑っている。

彼の笑顔は不思議、私もつられて笑顔になってしまうんだ。
周りを笑顔にするそんな力が豊久くんにはある。


「…………あれ、私」


何か大切な事忘れているような。

ほとんどのブースを見終わってお土産屋さんの前に来た時にふと、そこに疑問が産まれた。

「先輩、俺竹中センセにお土産買ってくるけど先輩はどうする?」

「あ…!!!」


竹中先生のフレーズで思い出した…。

水族館に入る前、豊久くん…竹中先生へのメールで好きな子が元気ないって、そう言ってた…。

好きな子って…………

まさか、私………?



「先輩、おまたせ!」

周りの人の目を惹きながら彼は私の元へ駆け寄ってくる。
こうして遠目から改めて豊久くんを見ると容姿のスペックの高さを再確認できる。
夏休みを経て小麦色に焼けた肌。
シャツから覗く腕は清正先輩ほどではないものの、しっかりと筋肉が付きとても逞しい。
かと思えば、どこか幼さを残している顔。
ベビーフェイスな彼が笑えばどれだけの女性が母性本能を擽られる事か。

会長のような艶っぽい笑顔でもなく、隆景くんのようなフワリとしたそれとも違う。


(豊久くんは…)


「先輩?どうかした?そうだお昼!食べに行こう!」

「夏の、太陽みたいだね」

「え?」

小さな悩みなんか吹き飛ばしてしまうんだ。
眩しいくらいに彼が笑うから。


「ううん、何でもない。お昼私お弁当あるんだけど…」

「ホント!?先輩!俺コンビニで先輩の食べたい物買うから交換して!!お願い!」

「いいけど…コンビニでは私がちゃんと払うよ、水族館のチケット買って貰っちゃってるからこれくらいはさせて」

そんなわけでコンビニに立ち寄ってから芝生の広場のある公園へ向かう。
木陰に並んで腰を下ろすと豊久くんは早速お弁当箱を開いた。

「すごい!美味そう!!」

何の変哲もない私のお弁当をキラキラした目で眺める豊久くん。

「そんな大したもの入れてないからじっくり見ないで…食べよう?」

そう言って私は買ったサンドイッチのビニールを剥がす。

「うん、頂きます!!」

子どもみたいに大きな声で手を合わせた後、豊久くんはお弁当を食べ始めた。





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