第33章 無双学園生徒会執行部。『Summer vacation』
なんか、変だ。
顔が熱い。
三成先輩とくっついている部分だけやたら熱い。
これは日差しのせいじゃない。
だとしたら、なんだろう?
「………」
私を背負ったまま浜辺を歩く先輩の後頭部をずっと見つめていた。
不安定な足場なのに平然と歩く先輩はやはり男の人なのだと嫌でも意識してしまう。
急に恥ずかしくなってモゾリと動いたのがいけなかった。
「動くと落ちるだろう、大人しくしていろ」
そう言われて更にしっかりと密着させられてしまった。
別荘に着くと豊久くんと清正先輩が駆け寄ってきて物凄い勢いで謝られた。
私の不注意なのに、側にいて助けられなくて悪かったと頭を下げられてしまった。
会長と隆景くんもかなり心配してくれていたみたい。
迷惑、掛けちゃったなぁ…。
精一杯の笑顔で大丈夫ですと皆に告げて部屋に戻る。
一人になると急に疲れがドッと襲ってきた。
そういえば……
「私、三成先輩に…ちゃんとお礼言えてない」
その日の夕食は休みたいと言う理由を付けてお断りをした。
お腹も減っている気がしないし、何より三成先輩の顔をちゃんと見られない。
きっと、もう少しすれば落ち着いていつも通り話せるよね。
後で…寝る前にでもお礼を言いに行こう。
「ちゃんと、言わなくちゃ…ありがとう、ございますって……」
そこまで考えて私は睡魔に負けて目を閉じた。
夢うつつに思い出すのはあのブラウンの髪と瞳。
「せんぱい……」
「…………」
「…眠ったようですね」
「…隆景」
「私も様子を伺いに来たのですが、やめておいた方が良さそうですね」
「そう、だな…」
「一歩…出し抜かれちゃいましたね、清正先輩」
「!!」
の部屋のドアの前、隆景の言葉に清正の顔が強張った。
「私の予想通りならの頭の中は今、三成先輩でいっぱいです」
「…だろうな」
「冷静ですね…」
「俺は俺でちゃんとアイツに向き合う」
「……私もです」
そのまま二人はドアに手を掛ける事のないままその場を後にして各々の部屋へと戻った。