第33章 無双学園生徒会執行部。『Summer vacation』
ここに座ってからをずっと見ていたからいなくなった事にすぐに気が付いた。
「三成先輩?」
隆景の呼ぶ声に返事もしないまま、三成は海へと飛び込んだ。
夢中で水中を探して掴んだ腕。
引き寄せて海面に出ると浜辺からは随分横へ流されてきたらしい。
上がれそうな近くの岩場にそっとを寝かせた。
「はぁっ…はぁっ………!」
自身も随分と水を飲んだ。
は、と様子を見ると気を失なっているものの胸が上下に動き呼吸をしていることがわかった。
三成は安心してため息を漏らした。
「、おい…起きろ、」
ベチペチとの頬を軽く叩く。
「……ん…」
「大丈夫か」
「み…つなり、先輩…?」
周囲を見渡して状況を把握しようとするに三成は事の経緯を話した。
「お前は波に流されたのだよ…」
「波に…三成先輩が助けてくれたんですか…?だって先輩、」
浜辺にいたのに、と言い掛けてはその言葉を飲み込んだ。
そして思い出したのは三成の視線。
あれはやっぱり自分を見ていてくれたものだとわかった。
でなければ浜辺にいた三成がこうしてここにいる筈がない。
じんわりと胸に灯る、温かい気持ち。
「立てるか?」
「……!!//」
三成の美しいブラウンの髪を水が伝う。
髪と同じ色の瞳が真っ直ぐにを捉えた。
トクン。
「?何処か痛むのか」
反応のないを心配して三成は顔を覗きこんだ。
「…!た、立てます!!大丈夫です!怪我してませんっ!…あっ……」
「馬鹿…っ!」
勢い良く立ち上がったを立ち眩みが襲い、足元がグラつく。
倒れそうになる体を三成がしっかりと抱き留めた。
トクン。
「……す、すみません…大丈夫、です」
「大丈夫なわけないだろう、馬鹿…乗れ」
「え…?」
の前にしゃがみこみ三成は背を向けた。
「別荘まで運ぶ」
「いやいやいや!そんな…!」
「つべこべ言うな、無理矢理抱えるぞ」
「……乗ります」
そのままを背負い三成は別荘へ歩いて戻ったのだった。