第31章 無双学園生徒会執行部。『July』(逆ハー)
「三成先輩はに何の用ですか?」
「隆景、お前には関係ない」
「………」
アメとムチが揃いも揃ってのところに来ている。
あぁ、雑務の。
ざわざわとしたクラスで私は背中を丸めて小さくなった。
「台風が来ているみたいですし、送らせて下さい。一人は危ないですから」
「た、隆景君……?」
「その必要はない、コイツは俺が送る」
「三成先輩?!」
とんでもない二人はとんでもない事を言い出した。
目の前でどっちがなんだと言い合ってる姿を見ていると軽い目眩がしてきた…。
「と、とりあえず外に出ましょう…アメムチ揃うと目立つので」
「アメ?」
「いや、何でもないです」
ともかく二人を外へと連れ出す。
雨はまだ降っていないけれど風は強く吹いている。
「あ、清正先輩?」
「おう」
昇降口でばったりと出会したのは清正先輩。
「授業は今日はなくなったとお前の所には連絡がいかなかったのか?」
「いや、道場に胴着忘れててな。それだけ取りに来た」
清正先輩は私たち三人をチラリと見回すと口を開く。
「…お前ら三人でいるの珍しくねぇか?」
「台風なのでを家に送るんですよ、途中何か物に当たったら危険ですし」
「隆景君、私そんな鈍臭くないよ…」
「………隆景がか?」
「いや、コイツは俺が送る」
「…………」
清正先輩の顔が曇った事に気付く。
それは私が今まで見た事のない、顔。
「清正、先輩…?」
息をのみ、思わず小さくそう呼んだ。
その瞬間ーーーー。
「…!?清正先輩…!?」
腕を引かれ、そのまま校門を後にする。
背中に聞こえるアメムチコンビの声にも止まらずに歩く。
身長差のある私達の歩幅は揃うはずもなくて、私は転ばないように小走りで着いていくしかなかった。
「清正先輩っ…?あの……!!」
「………」
返事はない。
ただ、掴まれている腕だけがやたらと熱い。
校門を出る前に清正先輩が呟いた言葉。
恐らくそれは、あの時私だけにしか聞こえていない。
『俺が見つけたんだ』
その言葉は何を訴えているのだろう。