第31章 無双学園生徒会執行部。『July』(逆ハー)
あの日、図書準備室での事はあれから私も三成先輩も話題には出していない。
一つ変化があったとすれば、先輩が名前で呼べと言ってきたこと。
全力で断ったのだけど、
『生徒会の奴らにはそう呼ばせている』
そう言われてしまった。
私を生徒会の一員として認めてくれているからこその発言と思い、無下にも出来ず結局私が折れる形で収まった。
それを聞いていた豊久君が俺も俺も!と騒いだので流れで彼まで名前で呼ぶことになった。
(そんなに、名前で呼ばれたいものなんだろうか…)
そんな事を考えながら、今日も朝稽古を終える。
台風が近くにいる、それを感じさせる強い風が朝から吹いていた。
(そう言えば清正先輩が朝稽古休むの珍しい…)
「あぁ、アイツなら電車止まって朝稽古間に合わないって連絡きたよ」
「そうなんですか?」
主将に清正先輩の事を聞いてみるとそんな返事が帰ってきた。
台風の影響、なのかな…。
いつも見ていたあの大きな背中と身の引き締まる掛け声がないと稽古にも何処か集中出来なかった。
最もそれは、私の力不足なだけなのだけど。
「お疲れさまでした、お先です」
シャワーを浴び主将にペコリと頭を下げ、いつもの様に生徒会室の掃除をする。
教室に戻るともうすぐホームルーム前だと言うのに人がまばらだった。
どうやら足止めされているのは清正先輩だけじゃないらしい。
「おはよう、今日の授業なんだが…」
教室に入ってきた担任の先生が溜め息混じりに話し始めた。
「全て休講」先生のその言葉の後にクラスメイト達からは歓喜の声が上がった。
ホームルームが終わると続々と皆帰り支度を始めている。
あちこちから「ねぇ何処寄って帰る?」と楽しそうな声が聞こえてきた。
寄り道か…最近部活と生徒会で寄り道なんてしてなかったなぁ。
本屋によってからマックのシェイクでも買って帰ろうと思って席を立った時だった。
「「」」
「……え?」
見事にハモった私の名前。
声の主を見て心臓が口から出そうになった。
何故、貴方達がここに?!