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戦国夢想(戦国無双3、戦国無双4)

第31章 無双学園生徒会執行部。『July』(逆ハー)



「……先、輩?…」

「……悪い」

漸く立ち止まった場所は私の家の近くの公園。
こんな日だからか公園には子ども一人いなかった。


「いえ、あの…大丈夫ですか?何処か具合でも悪、」


俯いていた清正先輩の顔を覗き込んだ、その瞬間。


「せ、んぱ……」


頬に感じる逞しい胸板と背中に回された逞しい腕。


「俺は、少し後悔してる」

「え……?」

抱き締められたまま先輩はそう呟いた。
耳を掠める低音に背中がゾクリとして少し身を捩る。

「お前を生徒会にいれた事」

「………っ」

まさか、そんな風に思われていたなんて。

部活の先輩としても尊敬していた清正先輩のその一言は私の心に深く刺さった。

じんわりと視界が歪む。


「あー…言い方が悪ぃか…そうじゃねぇ、今お前が思ってる意味じゃねぇんだ」

「……じゃあ、」


なんなんですか、そう言おうとして言葉が詰まってしまった。
それはやっと見られた清正先輩の目に熱が灯っていたのを見てしまったから。



「お前を一番に見つけたのは俺だ」

「え?」

「信之でも三成でも、ましてや後輩のアイツらでもねぇ」

「清正先輩…?」


しっかりと見つめられた瞳。
今までにこんな至近距離はない。
恥ずかしくて恥ずかしくて、顔に熱が集まる。



「後から近付いて来たヤツに簡単にお前をやれるかよ」

「………え、と///」


思考が追い付かない。
要するに清正先輩は。


「もう俺も遠慮しねぇ」


もしかして、とまで考えて
そんなわけあるはずない、に至る。


(先輩が、私を好き…だなんてあるはずない)



真相を確かめる勇気なんて私にはなくて、ただただ心だけが揺れていた。




これから来るであろう台風、みたいに。






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