第30章 無双学園生徒会執行部。『June』(逆ハー)
着いた場所は図書準備室。
こういう時って体育館の裏とか連れていかれるのかと思ってたけど違うんだなぁ。
呑気にそんなことを考えていたらピシャリと扉の閉まる音がした。
「…連れてこられた意味わかってる?」
「はぁ、まぁ…何となくですが」
「何その返事、バカにしてんの?」
私の正面ーーーー、
机に積み上げられていた本の横に先輩がドカリと座り足を組む。
その両脇に他の2人の先輩が囲うように立つ。
「生徒会に選ばれたからって調子乗ってんでしょ?」
「乗ってません」
「嘘ついてんじゃねーよ!小早川君とお昼一緒にいるの知ってんだよ!」
「さっきだって豊久君と抱き合ってたくせに!」
「…………」
だ、抱き合っていた…?
抱き付かれていた、の間違いでしょ!!
その後も媚び売ってんじゃないとか勘違いするなとか散々罵られ、気付けば後5分で予鈴がなる時間だ。
チラリと時計を見た私の態度が気に食わなかったのだろう。
机に座っていた先輩がチッと舌打ちをしたのが聞こえた。
次の瞬間平手打ちが顔目掛けて飛んできた。
「…きゃあっ!」
ーーー悲鳴は、私のものではない。
飛んできた右手を容易く受け止めると投げ捨てる様に払い除けた。
「ちょっとコイツ…!」
「いい加減にしなさいよ!?」
火に油、だったろうか。
取り囲まれジリジリと距離を詰められる。
さすがに3人相手はキツい、かなぁ。
その時だった。
「ここを何処だと思っている」
扉が先輩3人が一斉にそっちを見る。
次の瞬間、空気が氷った。
「「「!!!」」」
一瞬でその場を氷らせてしまう人物なんて、この学園で私は一人しか知らない。
「…石田、先輩」
「隣の図書室まで騒ぎ声が丸聞こえだ、不愉快なのだよ」
「石田君…!!私達騒いでなんか…!」
「そう、コイツが…私に暴力を!!」
そう言って平手打ちを私にしようとした先輩が弾かれた右手を押さえて石田先輩を見つめる。
媚びてるのはどっちなんだろう…。
呆れてものも言えなかった。
「……丸聞こえだと、言っただろう」
「……ひっ…」
石田先輩が一睨みするだけで先輩達は怯む。
すごい、これが氷の石田か。