第27章 無双学園生徒会執行部。『April』(逆ハー)
ずずいっと前のめりの島津君と近い距離で視線がぶつかる。
謝ろうとしてくれてるのかな…?
清正先輩の後ろから見えた彼の顔はまるで子犬の様。
その顔がなんだか可愛くて笑いが込み上げてきた。
「ぷっ……うん、もういいよ。私こそ投げ飛ばしてごめんなさい」
「……////」
笑う私を見て島津君が口をパクパクして固まっている。
「?」
「……いい」
「え?何て?」
うまく聞き取れず島津君に一歩近寄る。
それがまずかった、そこはもう…彼の射程距離。
「可愛い!!やっぱり!!」
「ひゃっ…!」
「さんっ!俺と付き合っ……」
「こら、こンの馬鹿!!」
私を再び抱き締めた島津君を清正先輩が引き剥がす。
そのまま何故か清正先輩の腕の中へ。
制服越しにもわかる筋肉質な腕にドギマギしてしまう。
みるみる内に顔に熱が集中する。
「あぁっ!!ずるい!清正先輩!俺が先だったのに!」
キャンキャンと喚く島津君を「うるせぇ」と清正先輩は一蹴する。
「何を騒いでいる、外まで筒抜けなのだよ」
ガラッと大きな音を立てて生徒会室に入ってきたのは石田三成先輩。
その後ろからニコニコ笑って小早川君も入ってきた。
「やぁ三成、早かったね」
「当たり前だ」
石田先輩が来た事で島津君も大人しくなり私はやっとゴタゴタから開放される。
「茶道部は折れたかい?」
「あぁ、部室の畳も見てきたが痛みはほとんどない。全て張り替えろなど通るはずのない話なのだよ」
「あれは掃除や日焼けに気を付けていればこの先まだまだ張り替えの必要はありませんでした」
真田会長と石田先輩、小早川君の話。
どうやら茶道部が畳の張り替えを申請したので石田先輩と小早川君が確認に行っていたらしい。
「整備を怠るからだと説教をして来た」
「会長、ちゃんとフォローもしてきたので万事問題ありません」
「フン、だらけた部にフォローなど必要ない」
おぉ…これが有名な生徒会のアメとムチ…。
各部活の申請も必要な物以外には絶対予算を下ろさないだけじゃなく追い打ちを掛ける厳しい言葉まで言い放つ石田先輩とそれに酷く落ち込んだ部に向上心を持たせる様な優しさでフォローする小早川君。
これまた揃いも揃って綺麗な顔…。