第15章 15日目
ビルとビルの間。
お店もない細い路地裏に入ると、ずっと後姿しか見えなかった二宮くんがすぐに私の方に体を翻す。顔も確認する時間もないくらい早く、強く抱き締められた。
「……っ、ごめん…」
耳元で聞こえるその声に、強く抱き締められた腰にまわる腕に、優しく頭に添えられる左手に、二宮くんを全身で感じた。
何も言えずにまた
何の感情かわからないものが目から溢れ出る。
「ほんとは、俺なのにっ…俺が、俺の」
二宮くんが詰まりながら、最後まで言えない言葉を伝えようとするとその度体に力が入る。
「…違うよ、二宮くんはっ…」
そう、二宮くんは何も悪くない。
こうやって気づいてくれた。
私を抱き締めてくれた。