第15章 15日目
タクシーを拾おうと道路まで出て手を挙げた。タイミング良くすぐにタクシーが停まってくれ後部座席の扉が開く。
お願いします、と乗り込もうとしたその時
左手を捕まれて引っ張られた。
何が起きたかわからない。
時々すれ違う人にぶつかりそうになりながら、目の前の人は顔を隠すように深く帽子を被り、下を向き早足に細い道へ進んでいく。
後ろ姿にまた安心して
腕を引っ張られたまま視界が滲む。
「…に、のみ」
「、今は喋らないで、」
周りの雑音が大きくて上手く聞き取れない。
また進むスピードが上がる。
「今喋られたら、我慢できなくなる。」