第6章 6日目
「…うわ、手作り弁当とか久しぶり。」
「松本さんがいつも召し上がってるお弁当よりグレードが大分落ちますが…。」
恥ずかしい、いい年してお弁当の中身が子供すぎて…今すぐぐちゃぐちゃに掻き回してしまいたい。もしくは天然タヌキが現れて全部食い荒らしてほしい。
「タコさん、ウインナー(笑)」
お箸でそれをとり、私に見せる松本さん。なんともまあ、無邪気な顔をするのでビックリした。
「…し、知ってます。すみません、朝からタコさんする時間があってすみません。」
あははは、と笑って口に入れた、ただのタコさんウインナーを旨いと言って喜ぶ姿はお世辞でも嬉しくなった。
「松本さんもお料理、されるんですよね?」
「…まあ、少しだけ、ね。」
二宮くんが言ってた。Jはと違ってお洒落なもの作るって。いつも一言余計です。
「…なんで知ってんの?嵐ファン?」
「…ああ、二宮くんが…」
言いかけてやめた。あ、あっぶない。またやらかすとこだった。
「なあんだ、二ノのファンか。」
よかった、そういうこと、です。
松本さんが次の玉子焼きに手をつけようとした瞬間、携帯電話のプルルルル、と着信音がなった。松本さんはちょっとごめんね、と私に断り電話に出る。
「あ、はい。あ、うん、はいはい、」
どうやら相手はお仕事関係の人のようだ。そろそろ行かなきゃ行けない時間なんだ。
「あ、 待って、あんさ、今ね手作り弁当くれた子と一緒なんだけど、二ノのファンらしくって、や、ね?お願い、うん、ちょっとだけ。」
はい、と携帯電話を私に渡す。
「お弁当のお礼。」
そう言って私に電話を変わった。