第6章 6日目
私って馬鹿ですかね?やっぱり馬鹿ですよね?
2週間前、小さなことで二宮くんとケンカした。なんのことでケンカしたかも今となっちゃ覚えてないけど。
『悔しいならもテレビに出たらどうですか』なんて言われたから、モヤモヤがおさまらなかった馬鹿な私は映画のエキストラ募集のメールにこんな不純な動機で応募した。
応募して2週間後、何故か今ここにいる。
早朝都内のオフィスビル。沢山のカメラとスタッフさんと、エキストラの人々。
全ての準備か整い、後からスタッフに通されて遅れてきた主演の方は嵐の松本潤さん、…二宮くんに近い人。
「ほんばーんっ!よーいっ、アクション!」
監督らしき人から声がかかる。よし、言われた通り歩くだけ。私は昼休みのOLさんの役、会社から何人かで出てくるという役だった。
周りのエキストラの皆さんはとても綺麗で、たぶんこういうお仕事にも慣れている方なんだ。すごく堂々としていて、一般人の自分との違いに落胆する。
ああ、私はなんて馬鹿なんだろう。二宮くんの挑発に乗ったことを今更後悔。