第5章 5日目
え、そこに座れと…?
言われた通り小さな隙間に座ってみたら二宮くんの顔がすぐ近くにあった。顔は見えないけど、心臓の音も息を吐く音も私の耳に直接入ってくる。
恥ずかしくて縮こまって、密着しすぎた体を少し離すと、意地悪な二宮くんはもっとくっついてきた。
「…か、からかってる!」
「んふふふ、からかってないよ。遊んでるだけ。」
後ろから抱き締められるような形で、私の右肩に顔を乗せる二宮くんがそのまま私の前でコントローラーを持った。
この体勢…し、死にそう…。
「今、絶対顔赤いよね」
「あ、赤くありません。」
「体熱いよ?」
こんなの…嬉しいけど!一人で紅茶飲みながらゲームする二宮くんを時々見る方が、私には合ってるよ!
「こうやって一緒にゲームすればも寂しくないかな、って思ったんだけど、」
そういうテレビ画面はさっきから何も変わってない。BGMだけが繰り返し流れている。
「…ゲーム、して下さい。」
私の心臓が、もちません…。
私がそう言うと二宮くんは持っていたゲームのコントローラーを下に置いて、後ろから私をギュッと抱き締めた。
「あー無理。の匂いで、ゲームできそうにないみたい。」
仕事中に私のことを少しだけ思い浮かべてくれた、それだけで私にとっては心臓が爆発しそうなくらい嬉しいことなのに。
あといくつ心臓があれば私は死なずにすむんでしょうか。
『 寂しそうな君へ 』 END.
「失敗だったね、」
「そんなことないよ。」
「そう?」
「…うん、好き、大好き。」
「……馬鹿。」
会話おかしくない?そんな日本語の返しあります?
それでもまた何かが喜ぶ方法を考えようと思う私は、最近あなたの馬鹿が移ってきた気がしています。