第4章 4日目
「…、ちゃん?」
今日はよく呼ばれる日だ。この方は確か、私の目の前に座っていた男性だ。えっと…確かお名前は…な、なんだっけ。
「…遅いから大丈夫かな、と思って…」
言いかけの言葉を止めたその人の視線の先には二宮くん。さっきまでの優しい顔つきが変わり、急に冷めたような視線が私に刺さる。
「…男いんのかよ。あー…マジ冷める。」
は、い?
お、とこ?え…何?そしてあなたは…誰!?
私の目の前に座っていた男性はおっとりしたような、ふんわりしたような方だった、はず…なのに今目の前にいるあなたは…同一人物ですか…?
「…あ、いや、ちが」
あまりの豹変ぶりにあたふたしてしまう。どうやら彼は勘違いしているようだ。私に彼氏なんていませんから!二宮くん、芸能人のあなたに迷惑かけてすみません。
「目つけてた女の子に男がいたからって、そんな言い方ないんじゃない?」
後ろにいた二宮くんいつの間にか私の前に出たと思ったら、すぐさま言葉を続けた。
「すいませんね、私の彼女ちょっとここが馬鹿だから、間違えて来たみたいです。」
自分のこめかみ当りを人差し指でトントン。口を左だけつり上げてちょっと困ったような顔をした。
え、ちょっと待ってください。
また馬鹿って言いました!?それ、二回目の馬鹿ですよね?何回も言いますけど、初対面ですからね!
「ほら、、謝って。」
腰をグッと押されて、その力で堪えられなくなった足は自然と一歩、前に出た。
えっ、なんで私が…!と思ったけど、勘違いされたこの状況だったら、私が悪い。ここは素直に。
「馬鹿で、すみません。」
…って何これ!
隣で笑う二宮くん。ひどい…ひどすぎる…!
「…アホらし、勝手にやれよ。」
そう言って男性はそのまま帰っていった。
…もう、何が何だかわかりません。
また二人になると二宮くんがやりましたね、と握手を求めてきた。私、あなたのマイペースさについていけてない気がします。